最先端医療機器を安全かつ迅速に医療現場に応用し,普及させていくためには「機器の開発」と「安全性・有効性の評価法の開発」の2つを一体となって推進してくことが重要となります.臨床に適用可能な信頼性のある評価法を確立するためには,臨床での実使用環境を定量的に解明・予測して代替装置として具現化し,性能評価法を開発することが極めて重要となります.医療機器の臨床評価は, (1)市販前の安全性と有効性に関わる評価と, (2)市販後の安全対策に関わる評価があり,改良・改善プロセスも含めた医療機器の全ライフサイクルにおいて重要な役割を担う実験室です.

2013/11/11 - 1:23午後 -- admin

拍動下冠動脈バイパス手術 吻合手技訓練装置(BEATYOUCAN)の開発と手技評価

 

1. 諸言

手術室外における若手心臓外科医の手術スキルの養成が世界共通の課題となっており,シミュレータの活用が期待されているが,訓練効果の科学的に検証が求められている.本研究では,実際に合計60 名以上の日米の若手心臓外科医に対して3 ヶ月を1 単位とする独自開発したシミュレータによる継続的血管吻合手技訓練を実施し,形態学的、流体力学的観点から訓練効果を検証することで,シミュレータを用いた効率的血管吻合訓練カリキュラムの確立を目指す.

 

2. 方法

○ 吻合モデルの医工学的評価方法

<形態学的評価>

2013/10/17 - 2:58午後 -- admin

1. 背景・目的

人工臓器に用いられる材料には,長期の生体内留置において,血栓などの生体成分の付着を抑制する高い抗血栓性が求められる.通常,材料の血液適合性評価は動物実験によって行われ,その前段階のin vitro評価としては静的環境下での試験が一般的である.しかし,より生体内に近い環境下における信頼性の高いin vitro血液適合性評価方法が確立されれば,開発の初期段階で問題点を明確化することによって開発期間の短縮が期待でき,また効率的な動物実験の実施が可能になると考えられる.本研究では,拍動型一巡閉鎖回路を用いて,拍動環境下と静的環境下におけるin vitro血液適合性評価の比較検討を行った.

 

2. 方法

2.1 血液適合性評価回路

2013/10/15 - 8:45午後 -- admin
1. 背景・目的近年,虚血性心疾患や拡張型心筋症に伴う重症心不全患者に対して,新たな治療法として細胞を用いた再生医療が注目されている.骨髄由来の細胞が心筋細胞に分化することや,心筋組織内に心筋細胞に分化しうる前駆細胞が存在す
ることなどの新しい知見が続々と報告されており,心筋再生の研究開発が加速されている.この細胞治療の具体的な方法として,細胞浮遊液を不全心筋組織内に直接注入することにより血管新生あるいは心筋組織を再生させる方法が多くなされている.しかし,細胞注入法では注入の際に細胞が流出し,組織内に生着する細胞の割合が数%しか存在しない問題を抱えている(1).そこで,不全心筋に対する次世代再生医療として組織工学による細胞治療が期待され>ている.組織工学とは,細胞を3次元組織に構築してから移植治療を行うという手法で上記のような細胞注入の抱え
2013/10/04 - 12:54午前 -- admin

1. 研究背景・目的

冠動脈ステントは薬剤溶出型ステントの登場で劇的に再狭窄率が改善されている.一方で近年ステントの断裂例が臨床で数多く報告されるようになり,その原因究明が求められている.本研究では,臨床でステント破損報告の多い右冠動脈の基枝部に注目し,心臓の収縮・拡張に伴う屈曲変形を再現する加速耐久試験装置を開発し,臨床で使用されているデザイン・材質の異なる5種類のステントについて加速耐久試験を行い比較評価した.

 

2. 研究方法・装置

2.1 ヒト右冠動脈の屈曲変形解析

 札幌整形循環器病院の協力のもと,57人の患者の血管造影像及びCT画像から心臓の収縮・拡張に伴う右冠動脈の屈曲変形を解析した.具体的には,右冠動脈の1番と呼ばれる基枝部の冠動脈の拡張期について左前側位及び頭位に傾けて撮影したCT画像について,(1) 屈曲角度が鋭角の場合には,屈曲角度が最大に見える撮影方向が右冠動脈を最も正面に近い角度から見た画像といえる,(2) 屈曲角度が鈍角の場合には,屈曲角度が最小に見える撮影方向が右冠動脈を最も正面に近い角度から見た画像といえる,ということに基づき,できるだけ正面に近い撮影角度を決め,その角度で撮影した血管造影像から心臓の収縮・拡張に伴う最大屈曲角度及び最小屈曲角度を求めた.

2013/10/04 - 12:18午前 -- admin

node/931. 背景・目的

癌,糖尿病などあらゆる疾患,生活習慣病には血管新生(血管形成,退縮,透過などの血管内皮細胞の運動性)が深く関与している.これまで,血管新生研究は主に,動物の体内および動物から単離した血管付き組織を対象としており,実験系の複雑さが問題となっている.例えば,癌組織中の特定の血管をターゲットとした抗癌剤の開発には,できるだけ単純化した系で周辺組織と血管との相互作用を観察できる必要とされている.そこで本研究では,チップ上で三次元微小血管を作製し,血管新生過程をモニタリングできるデバイスの製作を目指した.具体的には,コラーゲンゲルの三次元加工により細胞の集積,高速管腔化を可能とするマイクロ流路デバイスを作製した.本デバイスは,再生医療のための血管付き組織グラフトとしての応用だけでなく,顕微鏡観察が容易であるため血管新生の解析に有用である.

 

2. 方法